人間の身体は変えられる 動的平衡の話1
投稿日時: 2016年5月24日
人間は、食べるものからできているということは皆さんご存知だと思います。
食べたものは胃で消化し、腸で吸収されて肝臓に行き様々な化学合成の過程を経て結果として細胞がつくられます。そして皮膚・内蔵・骨・筋肉などの組織が長い時間をかけて食べたものと入れ替わっている!と思っていました。しかし、思ったよりもだいぶ早く入れ替わっていることが分かっています。このことを実験で確かめた人がいます。
その人はルドルフ・シェーンハイマーという人で、1930年後半くらいの事です。ネズミに餌を3日間与えて、あらかじめ餌のタンパク質にマークをつけておいて(元素の同位体)、食べたネズミの身体のどの部分にマークを付けたタンパク質が行くかを調べるというものです。
当初の予想では、体重の変化がないのであればほとんどが燃やされて、尿中にカスが排出されるだろう。というものでした。
しかし実験結果は予想を裏切っていました。
尿・糞便中に排泄されたのは全体の1/3だけでした。与えられた餌のタンパク質のうち56.5%がネズミの体内に留まったそうです。わずか三日間で!
その取込場所を探ると身体のありとあらゆる場所に分散していたのです。
特に取込率が高いのが、腸壁、腎臓、脾臓、肝臓などの臓器、血清でした。
当初もっとも取り込まれる確率が高いと予想された筋肉への取込は前述の部位にくらべはるかに低かったそうです。
福岡伸一著「生物と無生物のあいだに」より引用